左より門田悠真くん、是松先生、藤野遥香さん、藤野千夏さん
左より門田悠真くん、是松先生、藤野遥香さん、藤野千夏さん

上手になろうと思えば思うほど、うまく行かない事もある。

これまつ書の教室 是松 敦子さん

 

書を通して、自然体で日本の心を学べる教室。

 

誰しも学校の授業や教室で、書道に親しんだ経験があるのではないでしょうか。さして上達はしませんでしたが、私も小学生の時に書道教室に通った時期がありました。学校以外で友だちに会えることや、書道のテキストの巻末に昇段試験合格者一覧があり、自分の名前や知った名前を見つけるのが楽しみでした。昇段試験合格者一覧は、●一級 福岡 今宿太郎、佐賀 三瀬次郎・・・●二級 福岡 周船寺一郎、長崎 前原三郎・・・というように段や級ごとに教室の生徒全員の名前が掲載されるようになっています。当たり前のことですが、例えば二級から一級に昇段すれば、翌月のテキストでは一級のところに自分の名前が載るわけですが、それが嬉しくもあり励みにもなっていました。

今回は福岡市西区横浜、博多湾を望む小高い住宅街にあるご自宅の一角で「これまつ書の教室」を営む是松敦子さんをお訪ねしました。是松さんは幼少時代大分県の国東半島で育ちました。今の横浜に移り住んだのはちょうど昭和から平成に変わる年、友だちや知り合いをつくろうと玄洋公民館で開かれていた市民サークル<かな書道>に入会したのが書道を始めるきっかけになりました。「当時は特に書道に興味があったわけではなく、地元の方と交流を持ちたい、結婚式の記帳や手紙を書く時に恥ずかしくないようにという軽い気持ちでした。ですから頑張って上手になろうという気持ちもありませんでした」というユニークな是松さんですが、とても居心地の良いお仲間に囲まれて、気づいたら師範までとれていたのだそうです。さらに、他の教室の先生から「<漢字書道>もやってみたら」とお誘いを受けて、先生のお手伝いをしながらこちらも師範を取得。その後に今のご自分の教室を始められました。

是松さんの教室は、午前が大人で午後からが子どもに分かれていて少人数制になっています。大人はテキストを中心に、その折々に応じて年賀状、部屋を飾る小品を作ったりと、ゆったりと時が過ぎていく。子どもたちはさすがにテキストの流れに沿いますが、<一回の授業で必ず一つは作品を仕上げること>というのが唯一つのルールで、みんなでワイワイおしゃべりも楽しんでいようようです。「作品を仕上げる時は子どもたちも無口(笑)集中しています」と是松さん。書道の世界は奥が深く私には難しいことはよくわかりませんが、ただ単に技術を学ぶということだけではなく、一心に書に取り組む時には集中力が養われ、心が落ち着くような効果もあるのではないでしょうか。また、大人の取り組む教材には和歌などの古典もり、日本の心を学ぶ機会になりそうな気もします。

今回取材をさせていただいて一番印象に残っているのは是松さんの自然体。誤解を恐れずに言えば、上手になりたいと強く思えば思うほど心が凝り固まって逆にうまく行かにことがあります。「無欲」「純粋」。何事も自然体であることの大切さを改めて感じる取材になりました。最後に「このままずっと教室を続けて行きたいですね。子どもたちの上達を願っています」と静かにおっしゃる是松さんでした。

 

これまつ書の教室

福岡市西区横浜2丁目27-2

電話番号092-806-5431

けいこ日 水・木・金・土

 

小3、硬筆2段、毛筆1級、門田悠真くん書
小3、硬筆2段、毛筆1級、門田悠真くん書
小3、硬筆初段、毛筆1級、藤野遥香さん書
小3、硬筆初段、毛筆1級、藤野遥香さん書
幼稚園、硬筆3級、毛筆6級、藤野千夏さん書
幼稚園、硬筆3級、毛筆6級、藤野千夏さん書